競技力を向上させるためのスポーツ・アナリティクス(オイスカ浜松国際高校出張授業)

出張授業日 2024年11月6日
受講生満足度 調査なし

ここ最近、高校の授業や運動部活動で「データを活用したい」というご相談をよく頂き、私としては大変うれしい限りです。今回はオイスカ浜松国際高校の1年生を対象に、出張授業をしてきました。

オイスカ高校さんと言えば、スポーツ・ウェルネスコースを新設したばかりで、新しい取り組みを進めていらっしゃるとのこと。そんな学校の一助になれたら、当研究室としてもやりがいがあります。

出張授業の写真を撮れなかったので、こちらはイメージ図です…

なぜスポーツアナリティクスが必要なのか

「最近のスマホやタブレットはカメラ性能が非常に高いので、手軽に練習や試合の映像を撮影して観察することができますね。しかし、果たして映像を観るだけで十分なのでしょうか。」

こんな問いから始まった出張授業。

もちろん、自分の動きや試合の映像は、他者の視点で繰り返し観察できるので一定の効果が期待されます。しかし、映像視聴から得られるのは主観的な気づきにすぎません。もし、そこに客観的な数値データがあれば、もっと多様な発想や、自信を持った判断ができるはずです

スポーツアナリティクスとは、試合中やトレーニング中のデータを測定し、分析、要約を行って、選手やコーチを情報面でサポートすることです。どんな選手・チームであっても、目標達成に向けた課題を抱えているはずであり、それを解決するために、従来の経験則に加えて、データの測定・分析に基づいた解決法を提案することが求められているのです。

高校部活動でスポーツアナリティクスを実践するには

少し余談になりますが、プロのアスリートを支えるスタッフには、監督(ヘッドコーチ)、テクニカルコーチ、フィジカルコーチ、アスレティックトレーナー、栄養士など、様々な専門家がいます。そのひとつに近年は「アナリスト」が定着しており、すでに立派な職業になっているのです。

しかし、アマチュアスポーツ(高校部活動)では、専属のアナリストを用意することは難しいですよね。そんな場合は見方を変えて、チームのみんなで少しずつ分担してみましょう(つまり全員が選手兼ミニアナリストになるということです)。そうすれば分析作業も短時間で終わります。もちろん、向き・不向きがありますから、強制的にやらせるのは望ましくありませんが。

どんなデータがある?

仮にスポーツアナリティクスを実践していくとなった場合、やみくもにデータを取っても意味がありません。チームや選手の課題を把握し、その解決に向けて必要なデータを測定・分析するようにしましょう。

実際にはたくさんのワークフローがあり、測定・分析の手法も多岐にわたりますが、今回はその中でも比較的よく扱われるデータの種類と、競技要素について紹介しました。

データ種別

競技要素

具体例

ゲームパフォーマンスデータ

戦術・技術・体力

試合中に発揮されるパフォーマンスに関するデータ

パスやシュートの成功数(率)、ボールの落下点、走行距離、スプリント回数など

動作データ

技術

動作実行中の身体部位から測定されるデータ

関節角度、加速度、距離、タイミング、重心移動など

フィジカルデータ

体力・体格

フィジカル(身体)に関するデータ

ベンチプレス挙上重量、反復横とび回数、Yo-Yoテストのレベル、肺活量、身長、体重、体脂肪率、柔軟性など

コンディションデータ

コンディション

日々の生活や体調管理に関するデータ

睡眠時間、食事記録、排便、疲労感、血中ヘモグロビン量、練習量など

メンタルデータ

メンタル

精神面に関するデータ

やる気、緊張度など

どうやって測定すればいい?

さて、肝心なのはこれらのデータをどうやって測定するか、です。最近はスポーツデータ分析用の手軽な機材やアプリが増えてきましたが、いきなり購入(契約)するのはややハードルが高いかもしれませんね。

そこで、だれでも手計測でデータを集められる方法をいくつか紹介しました。そのうちのひとつが、カウンターを両手で持って、試合を見ている人が右手で成功回数、左手で失敗回数を数えていく方法です。ゲームパフォーマンスデータの測定に該当します

例えばサッカーであれば、試合に出ていない選手たちが「○○はショートパス」、「□□はロングパス」、「△△は1対1」といったように、一人ひとりに測定する動作や戦術を割り当て、応援しながら左右の手で成功と失敗を数えていきます。ハーフタイムに即時フィードバックができるので、後半の戦い方のヒントが得られるかもしれません。

テニスは勝ち上がると一日に2試合、3試合と続く場合がありますが、試合中にアドバイスができないので、応援している選手がサーブやリターン、フォアハンド、バックハンド、スライスショットなどの項目を分担して計測し、次の試合が始まる前にフィードバックすることが効果的です。また、同じ会場では次の対戦相手が試合をしていることもよくありますから、そのコートへ測定しに行けば、相手の得意・不得意を事前に把握した状態で戦うこともできます。


もし、生徒の皆さんが感覚に頼ってがむしゃらに練習しているとしたら、データ活用を取り入れることで何かが変わるかもしれません。まずは手軽に始められる方法でやってみてはいかがでしょうか。

オイスカ高校の皆さんの今後の活躍に期待しています!