高校生のためのスポーツアナリティクス:選手自身がデータ分析を行う意義とその実践の指導法(高知商業高校教職員研修会)

研修会開催日 2025年7月4日
受講生満足度
4.67(12)

本日は高知商業高校の先生方に研修会をさせていただくため、瀬戸大橋を渡って四国まで行って参りました。

高知商業高校さんと言えば、藤川球児選手(元阪神タイガース)をはじめ、多くのアスリートを輩出しているスポーツ強豪校です。そんな学校から「スポーツアナリティクスを学校全体で実践するための方法を知りたい」というご依頼を頂戴しました。

研修内容

  1. スポーツアナリティクスとは
  2. 学校でスポーツアナリティクスを始める前に
  3. 運動部活動におけるスポーツアナリティクスの実践例
  4. 学校におけるスポーツアナリティクスのマネジメント
  5. スポーツアナリティクスを体験してみよう

本研修会は、この5つで構成しました。競技スポーツでは当たり前となっているスポーツアナリティクスですが、学校の先生にとってはまだ聞きなれない言葉です。まずは「スポーツアナリティクスとはなにか」について詳しく説明し、それを「実践する前に確かめるべきこと」と、いくつかの実践例、そして「学校全体でスポーツアナリティクスを推進し、上手くマネジメントしていくためのコツ」を紹介しました。最後は当研究室で開発中のWebアプリを使って、実際にデータの測定を体験していただきました。

学校でスポーツアナリティクスを始める前に

学校でスポーツアナリティクスを始める前には、いくつかの注意点があります。例えば予算が十分にあるか、誰がアナリストを担うのか、などです

紙とペンですべての測定、分析をします!というのであれば予算はほとんどかかりませんが、それは不可能に近いです。映像を撮るためのカメラや、データを測定・分析するための専用機材やアプリがないと、すぐに限界が来てしまいます。校費が十分にある場合は問題になりませんが、そうでない場合は部費で徴集するか、外部資金(高校教員でも応募できる科研費奨励研究など)を取ってくる必要があります。それも難しいようであれば、安価や無料のツールでやりくりするしかありません。

(この現状を変えるために、当研究室では誰でも無料で使えるWebアプリの開発を進めているわけですが…。)

スポーツアナリティクスを実践するには、「誰がアナリストを担うのか」を明確にすることも不可欠です。これがはっきりしていないと続かないのです。最初は興味を持ってやっていた生徒が、そのうち「やらされている」と感じてしまったり、代わりに先生が担うとしたら大きな負担になってしまったりします。

その他、スポーツアナリティクスを実践する目的や、専門家の支援の有無、競技力の構成要素と測定の難易度の明確化、データの信頼性や分析可能な手法の確認などの注意点について、詳しく説明させていただきました。普段教育について考えている先生方にとって、データや測定・分析について触れることは、新鮮だったかもしれませんね。

運動部活動におけるスポーツアナリティクスの実践例

実際にスポーツアナリティクスを行っている学校の取り組みとして、ゲームパフォーマンス分析(テニス部)中継プレーによる最速バックホームの検証実験(野球部)、校内専用のコンディショニングアプリの開発、シュート動作分析(サッカー部)、区間タイム分析(陸上競技部)などの実例を紹介させていただきました(いずれも現在、当研究室が関わっていたり、過去に関わった取り組みです)。

学校でのスポーツアナリティクスのマネジメント

スポーツのデータを活用している(「スポーツアナリティクス」と表現するほどではないが、何かしらのデータを活用している)学校や部活動はたくさんあります。しかし、その多くは部活単位で活動していたり、短期的な取り組みで終わってしまっていたりします。

そうではなく、学校全体で長期にわたってスポーツアナリティクスを実践していくためには、上手なマネジメントが必要なのです。

そのためには、「何のためのスポーツアナリティクスなのか」(勝つため?教育のため?)をはっきりさせ、組織体制を工夫し、カリキュラムとも上手に連携を図りながら実践していくことが求められます。

これが上手くいけば、一定の効果(競技力向上や教育上の効果)が表れるでしょうし、学校の広報活動にも利用することができます。

データの測定を体験しよう

前半は講義形式の研修会でしたが、後半は体育館でバスケットボールのパフォーマンスデータの測定を体験していただきました。

試合をする先生と測定をする先生に分かれ、当研究室で開発中のWebアプリケーション「Game Stats Counter」を使ってゲームパフォーマンス・スタッツを測定し、即時フィードバックをしました。

「バスケ何年振り!?」「〇〇先生頑張って!」など、やはり体を動かすと盛り上がりますね。

スポーツアナリティクスを導入するには、はじめから難しいことをやろうとせず、誰でも簡単にできる取り組みがおすすめです。Game Stats Counterは本当に簡単なことしかできませんが、取っ掛かりにはぴったりかもしれません。

Game Stats Counterを使って、ゲームパフォーマンス・スタッツの測定を体験していただきました。

講義と実技の二部構成で長時間にわたる研修会でしたが、高知商業高校の先生方の熱心な姿勢のおかげで、とても有意義な時間となりました。

大変お疲れさまでした!